【動画】『許されざる者』(1992年日本公開)
クリント・イーストウッドはこの西部劇で監督そして主演として本領を発揮し、第65回アカデミー作品賞を受賞しました。
物語の舞台はワイオミング州のビッグウイスキーという町で、娼婦のデライラ・フィッツジェラルド(アンナ・トムソン)がカウボーイたちに切りつけられ、このカウボーイたちの首に懸賞金がかけられます。
元悪党のウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)はこの賞金を得るため、別のガンマンや町の保安官リトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)と対立することになります。
○レビューまとめ
「西部劇にしては少し地味だった」
「暴力暴力暴力、その連鎖で話が出来ているわけだが
普通の西部劇のように正義と悪という描き方ではなく
最後まで重苦しい雰囲気が続く」
「保安官は憎たらしく見える。
だが彼は責務を全うしているだけです。
銃を持った荒くれ者に甘い顔できますか?
出来ませんよね。
それに全員を満足させる裁定なんてできません。
誰かは我慢しなきゃならない。
我慢できない女たちが殺し屋を雇った。
街の治安を乱す行為ですけど
保安官は女たちを処罰してませんね。
殺し屋を徹底して潰そうとしている。
保安官は優しいんですよ。そして正しい。
ただ憎たらしいだけ。
「娼婦の顔に切りつけたカウボーイに復讐する物語。典型的な勧善懲悪の西部劇ではあるが、登場人物の人間性を問う。
主人公は馬にもまともに乗れず、相棒のネッドは肝心な時に銃が撃てないし、スコフィールド・キッドはハッタリ野郎。保安官一味はクズだし、イングリッシュ・ボブも町からブザマに追い出される。
登場人物にまともな人間がいない。(あえて言うなら、娼婦たちだけがまとも)
クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン、リチャード・ハリス(『ハリー・ポッター』の1作目・2作目の魔法学校校長)、フランシス・フィッシャーなどキャストは豪華。」
「イーストウッドの作る作品は、どれも優しさが含まれていて、心が温かくなります。
この作品も、殺し合いはあるけれど、西部劇であるが故、芝居として捉え易く、共演者同士、本当は仲良しなんだろうと安心してみていられるのが良いところ!
明日も頑張って生きていこう!と思わせてくれます。過去が悪くても、今が良ければ、いい人なんだと結論づきました」
「正義は立場によって変わる。暴力や殺人はとりわけその個々の動機が行動の源になる。主人公でさえ自分の動機に基づくただの殺人鬼であるというその矛盾を見る者に突きつける。イーストウッドの魂に触れる。」